三毛猫の足あと

2022.9.28 記入者:大岩(サービス管理責任者)

 

「大岩さん、大変!はやく来て!はやくっ!!」

 

ある日の午後、支援員Kさんが表情険しく切迫性の高い声色で呼ぶ声がきこえてきました。利用者にかかわる緊急・救急の対応、事件、事故、予測しえない非常事態…あらゆる予測がとっさに頭をよぎります。Kさんが手招き「こっちです!」と走るうしろ姿を追いかけ玄関を出て外にでると、ちょうど風のガーデンの前で止まり、Kさんは肩で息を切らしながら辺りを見回します。さっきまでここにいたんだけど──Kさんは落胆した表情をみせます。な、なにかいたんですか?──そう尋ねると、Kさんはメガネの奥の眼光するどくキリッとした表情で言いました。

  

「三毛猫です」

 

ミケネコデスの六文字をすぐさま頭で理解できず、素っ頓狂な声でミミミケネコデスカ?と応えてしまいました。さっきまでいたんだけどなぁ…あっちに行ったかも、あ、ほらあそこ!とKさんが指差したさきには一匹の若い三毛猫がいました。たしかにこれは大変だ、利用者のみなさんも見たら喜ぶにちがいない──そう思ったのも束の間、三毛猫はそそくさと姿を消してしまいました。そうかとおもうと、いつのまにか風のガーデンをゆらゆらのたりと歩く姿をみかけ、きっとこうして散歩しているんだなぁとおもいました。

 

そののち、ご利用者に三毛猫を見かけたことやそのうち風のガーデンで見れるかもしれないことをお伝えすると「ネコ?ネコ、見に行こうよ」と笑顔でした。支援員Iさんも「こないだは玄関でヘビ見かけたわよ」と教えてくれ、鳥虫けものはわいわいと蜂や鳩やシジュウカラはせっせと巣をつくり、ときどきハクビシンや三毛猫があらわれる──なんと生き物豊かでにぎやかな環境だとつくづくおもいました。

 

ちょうど保育園のこどもたちが遊びに来てました

 

ところでそんな三毛猫もふらっと散歩する風のガーデンですが、きょうは目黒区社会福祉協議会の地域支援課ささえあい係から、コミュニティ・ソーシャルワーカーのSさんがお見えになりました。風のガーデンとそこへ集う地域のボランティアのみなさんの活動のようすを目黒区社会福祉協議会の広報誌『みんなのささえあいレポート』(https://www.meguroshakyo.or.jp/smph/kouhoushi/wagamatisasaeairepor.ht ml)に掲載したいとのことで足を運んでくださりました。

 

こどもとおしゃべりしながら活動するボランティアのKさん

 

こどもたちが風のように駆けまわり遊ぶ中で、風のガーデンの出発点と現在、地域に暮らしているボランティアのみなさんとのつながり、目黒恵風寮に暮らしているご利用者や法人内他施設にとっての役割とほそぼそとしたこれまでの取り組みと効果についてお伝えしました。

 

ご利用者にとっても職員にとっても目黒恵風寮が自施設だけで完結せず、つながりとひろがりとゆとりのある場所にしていく中で、こうした活動と軌跡を発信してもらえるのはありがたいなとおもいました。

 

 

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