新型コロナウイルス

2021.10.18 記入者:大岩(サービス管理責任者)

 

 

 

 
 新型コロナウイルス感染症の「第5波」と呼ばれる状況がニュースで報じられていた7月末、目黒恵風寮でも新型コロナウイルス感染症の感染者が発生し、そこから終息までの約2ヶ月間、職員一同で感染拡大にともなう対応に尽力してきました。 
 それまで目黒恵風寮では、職員・ご利用者ともに衛生健康管理にはじまり、恒例の行事や面会・帰省等の制限、有事に備えた物品の備蓄など、可能なかぎりの対策をしてきました。そのため新型コロナウイルスの国内での感染が認められてから約1年以上は感染者の発生もなく過ごしてきました。しかしながら世間でも新型コロナウイルスの感染者が猛威をふるうなかで目黒恵風寮でも感染者が発生し、ご利用者の安全確保と感染の拡大防止に全力を尽くすこととなりました。
 
 ふだんは日中活動をおこなうための作業棟は感染者の隔離対応のための場所として活用し、感染が判明したご利用者はふだんとは違う場所で過ごしていただくこととなりました。そこで職員はサージカルマスクとグローブに加え、フェイスシールド・ディスポガウンといった防護具を着て支援にあたりました。
 本来であれば入院療養が必要な感染者のご利用者も多数いる中、第5波の影響もあり、医療機関への入院は困難を極めていました。救急要請をしても入院ができないこともありました。そのため、なんとか入院が叶うまでのあいだ、できることが限られるなかで職員は防護具を着ながら文字通り汗水流しながら目の前のご利用者に対応しました。又、たとえば食欲がないご利用者がすこしでも何か食べれるものはないかとアイスを購入したりつるっと食べやすい素麺をつくってみてはどうかと工夫するなど、通常の生活支援ではない現場でも、皆必死で、声を掛け合いながら賢明に対応にあたりました。
 
 結果として、終息までに約2ヶ月かかりました。その中で、新型コロナウイルスの感染により3名のご利用者が逝去されました。これまで毎日のように顔を合わせ、ついこのあいだまで目の前にいたはずの3名のご利用者が逝去されたかなしみは筆舌に尽くしがたく、遣り切れません。保護者の皆さまには謹んでお悔やみ申し上げます。
 
 Sさんは、むかしからケーキのモンブランと水谷豊がお好きでした。仲良しのご利用者Mさんとはとても仲が良くいつも笑顔で、一緒にカラオケや旅行、大好きなディズニーランドに一緒に行ったのを覚えています。わたしのことをいつも「おにいちゃんおにいちゃん」と呼び、小さい体でぎゅっと抱きついてきては、きまって「えへへ」とにっこり笑う方でした。
 Hさんは、いつも机にむかってノートをひらきペンで字を書くのが日課でした。付き添って一緒に歩くときにはいつも自然とHさんから手を伸ばし握ってくれ、その手はいつもやさしく温かでした。一緒に買い物やカフェでお茶をしたり、大好きなおしるこを食べてもらったり、他利用者も含めて旅行に出かけて足湯を楽しんだのは今でも忘れられません。
 Mさんは、散歩にお誘いするといつも「うん!行く~!」と元気いっぱいなコロッケやかつが大好きな方で、ときどき風のガーデンの花壇や畑に水やりを一緒に楽しみました。からだいっぱいで屈託なくよく笑い、毎年の地域の神社の祭礼のときには地域の方たちに交じって一緒に「わっしょいわっしょい!」とお神輿を担ぐ姿がいまでも印象に残っています。
 
 ご利用者一人ひとり、職員一人ひとりが、逝去された3名との思い出と、これまで一緒にどう過ごしてこれたかをふりかえり偲び、ご冥福をお祈りしたいとおもいます。