2024.3.9 記入者:大岩(サービス管理責任者)
二月の終わり、桜よりもひとあしさきに咲きほこった風のガーデンにある杏の花は行き交う人々の足をとめ、快い意外さと春の予感に充ちたのものとして目前にあらわれます。通りががる人々はみな一様におどろき心をゆりうごかされ、見上げる先には花弁をついばむヒヨドリやメジロたちの姿も映り、おもわず笑みがこぼれます。
ときどき風の流れにのって杏の花びらは地上にひらひらとおりてゆき、ご利用者のみなさんや法人敷地内の他事業所のおとなたちやこどもたちの散歩のあしもとを彩ります。
冷えこむ日もまだあり雪がちらちらと降った日もあるものの、春の陽気にさそわれてちぢこまっていた虫たちが地中から顔をだすように、ニセアカシアの花の房のたわわに垂れる木立からくる匂いがにわかに漂いはじめるように、また春がちかづいている気配がします。あたたかくなる頃には鯉のぼりがすいすいと泳ぎ、野菜も育てられ、未来にむかってご利用者のちょっとした楽しみがまた待っているかとおもうと、いまからすこしうきうきします。
穏やかな日々のなか、先日、誕生日をまぢかにひかえたご利用者Oさんが付き添いのサービス管理責任者Sさんといっしょに渋谷に映画鑑賞に行かれました。なにを観に行くのか尋ねると、Oさんはアニメが好きなので『ハイキュー!!』というアニメ映画を選ばれたとのことでした。
誕生日を通して、Oさんがじつはアニメが好きなこと、キャラクターのなかでも「しまじろう」が好きなことを知ったりと「え、そうなんだ!」という小さな発見がありましたが、映画を楽しまれ帰ってきてからは用意されていたおめでとうの気持ちのドーナツをもぐもぐと頬張り、太陽のように率直でかげりのない笑顔のOさんの姿がありました。
Oさんも、ほかのご利用者のみなさんも、日々穏やかに過ごされています。