ひんやり熱いもの

2023.2.15  記入者:大岩(サービス管理責任者)

 

 

「お先に失礼します」

「はーい、お疲れ様です」 

 

先日、雪が降った日のこと。夜勤を終え、事務所にあるタイムカードを「ピッ」と慣らして退勤する支援員Wさん。それはいつもの何の変哲もない光景でした。

 

支援員Wさんが退勤してすこししたあと、玄関ホールを行き交う職員が玄関のそとに目をやり、皆ピタッと立ち止まり目を細めながら「…ん?」といった表情を外に向けています。そのようすに事務所の中にいたじぶんも「ん?」と不思議におもい、玄関ホールに出て外を眺めてみると、雪がしずかにこんこんと降っている中で、さきほど退勤したはずの支援員Wさんの姿がありました。

 

「Wさんが…何かしている…?」

 

何をしているんだろうと目を凝らしてみると、すこしずつ積もりはじめた雪をかき集め、てのひらの中で丸くしていました。もしかして…といった周りの推察をよそに、Wさんはトコトコと歩きながら雪をあつめ、小さな可愛らしい雪だるまをつくり、玄関に飾ってくれました。

 

 

 

 

 

 

ちょこんと座る玄関の雪だるまに、おもわず往来するご利用者・職員の表情がポッと明るくなります。

 

雪だるまを見ると「かわいい~!」と笑顔のご利用者Iさん

 

ご利用者Sさんといっしょに

 

「雪」には「雪ぐ」と書いて「すすぐ」と読み、汚れを除いたり清めるという意味があります。空からおくられてきた雪は地上を雪ぎ、支援員Wさんのちょっとした心遣いにより、雪だるまをとおしてご利用者やスタッフの心も雪ぎ、ひんやり熱いものを届けてくれるのでした。

 

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