2023.5.26 記入者:大岩(サービス管理責任者)
「大岩さん、ご利用者Sさんが後見人さんをつけたいと希望されていて…後見人について、時間があるときにKさんとお話してもらってもいいですか?」
去年の10月頃、支援員Kさんからそんな話がありました。そのため、その後すぐにSさん本人に話をうかがう時間をつくり、ご本人の居室にて支援員Kさんといっしょにお話をうかがいました。ご本人は「自分もいつ何があるか分からず家族にも頼りきれないため、成年後見制度を利用して後見人をつけたい」という意思をはっきりと口にされていました。ときどき目頭をキッとして何かに怒っているようすもありつつ、顔を合わすと照れくさそうに笑うSさんですが、この日はすこし緊張感のあるようすでした。
またSさんからは「成年後見制度を利用したら何を頼めるか?」といった質問もあり、ご本人に理解しやすいよう言葉をえらびながら、制度上の「後見・補佐・補助」の役割とその違いをふくめ、噛み砕いて内容をご説明*しました。
*成年後見制度とは?(厚労省「成年後見はやわかり」ページ)
Sさんは真剣な面持ちでこちらの説明に「うんうん」と耳をかたむけ、ひとしきり話を終えると、成年後見制度利用のご希望が変わらないことを教えてくれました。
「いま家族もたいへんだからさ…」
話の中でSさんがたびたび口にされていたご家族へ寄せる思いが印象に残りました。そしてご家族へも経緯を報告することや今後の流れをお伝えし、Sさんとは話を終えました。のちにご家族へ経緯とご本人のきもちをお伝えすると「そうですか、わかりました。よろしくお願いします」とおっしゃっていただき、成年後見制度利用のために動き始めることとなりました。
それから諸々の手続きをおこないながら5月になり、つい先日、成年後見制度利用手続き(裁判所からご本人への聞き取り)のため、Sさんと一緒に東京家庭裁判所へ足をはこびました。ご本人は「ちょっとだけ緊張してる」と笑顔を浮かべながら向かい、裁判所に到着して「いざ聞き取り!」の時には、ご本人なりに「えっと…」と言葉を探しながら、しっかりと質問への回答をされていました。
「今回の成年後見制度の利用については、ご本人からの希望でお間違いないですか?」
「はい、家族が忙しくて、自分の面倒を見ることが難しいので…後見人さんに色々とお願いしたいと思って希望しました」
裁判所の聞き取り終了後のかえりみち、Sさんは同じく笑顔で「疲れちゃった」と話し、揺れる送迎の車中でうとうとと眠られていました。成年後見制度の利用にはもうすこし時間をいただくことになりますが、Sさんが「大岩さん、これで安心だよ~!」とおもえる時まで、サポートしていきたいなと思いました。