2023.11.8 記入者:大岩(サービス管理責任者)
ご利用者Oさんといっしょに風のガーデンにあるテラスチェアにしばらく座っていると、ふいに近くでポトポトと何かがおちる音がきこえてきます。ここちよく秋晴れのなか「(なんだろう?)」と耳をすましてみると、さあっと風が一吹きし、とたんにポト、ポト、ポトト…とちいさな木の実があしもとにころがり落ちてきました。おもわず「あ、これかぁ」とおもいOさんに視線をもどすと、Oさんはさきほどまでと変わらずうつむいています。
落ち葉をくりぬき顔をつくって見せたり声をかけてみても、Oさんの眉間に寄った八の字のしわに変化はありません。ただ、うつむきながらも嫌がったり帰りたがるようすもありません。そのため横にいっしょに腰かけながら、ぼーっといっしょに日向ぼっこをしてみます。
屋内から庭に場所をかえ、とくだんの会話はなくても、テラスチェアで足をぷらんぷらんとさせながら、ゆるゆると休む。とくになにかをするでもなく、のんびりと過ごしてみる。そんな「なんにもしない」をすることが、空たかく流れる雲のように誠実に沈黙をまもってみることが、秋晴れのきょうにはぴったりの日でした。そうして、きづけば風のガーデンにおとずれるまえに出していたOさんの苦しそうな唸りや大きな声はなくなり、いくぶん落ち着かれたようにみえ、頃合いをみて風のガーデンをあとにしました。
ご利用者Sさん(左)とご利用者Sさん