コード・ブルーハワイ

2025.10.10 記入者:大岩(サービス管理責任者)  

 

「わたし、Wさん好きだよ。だっておもしろいんだもん」

「あたしも」

「こないだもさ、漢字教えてほしいって来たんだよ。かわいいよね」

 

 

 

暮らしのなかに「好きなひと」「相性のいいひと」「ほっとできるひと」がいるということは、日々を支える見えない力であり、心の深いところをあたためる灯のようなものでもあります。好きな編み物をしながらご利用者同士で和気あいあいと談笑するMさんたちのまわりにはやわらかい秋の陽射しがあたり、のんびりとすごす余暇のじかんは、どこかやさしい空気感に充ちていました。

 

つづけて、尋ねるでもなく「…秘密だけどさっ」とこちらの耳もとにちかづきコショコショとくすぐるように「(支援員の)〇〇さんもね、好きだよっ」と教えてくれたMさんの顔には、うれしさをたっぷりと詰めこんだような表情が浮かんでいました。

 

  

 

だれでも健やかに生活するためには、日々の健康管理が大切となります。

 

目黒恵風寮ではご利用者自身によるセルフケアとあわせて、スタッフによる必要なサポートをおこなっています。それは病院のような緊張感をともなうものとはことなり、むしろ、日々の暮らしのなかにそっと溶けこんでいるものとしてあります。

 

 

 

たとえばスタッフの声かけひとつとっても、顔色や体調をうかがったり、短い会話のなかにひそんでいる健康サインやちょっとした違和感や変化をキャッチするためには大切な機会となります。スタッフは、利用者の“いつも”をよく知っている人であり、“なんだかいつもとちがう”に気づくプロでもあります。

 

「あれ…?Nさんの唇、なんだか青くないですか?」

 

先日も、嘱託医師(内科)の往診の折、Nさんの異変に気がついたスタッフ。ただちにチアノーゼが疑われたため、多少の緊張感がはしりながらバイタルチェック(体温・血圧・脈拍・呼吸・SpO2など)をおこなうも異常はみられず、「サチュレーションも98%で異常ない…あれ………?」となったところに、支援員Sさんが文字通り「…ハッ!」とした表情をうかべつぶやきました。

 

 

 

「すみません………Nさん今日、ブルーハワイ味のゼリーを食べたんで、たぶん、きっと、それで………(※ブルーハワイ味の青い着色料が唇についていた模様)」

一同「「えっ」」

 

 


キョトンとされているNさんをよそにスタッフ一同に安堵の笑いがこみあげ、きょうも医療と生活のまんなかで“点滴より会話も、薬よりも笑顔”なんてことも日常にふくみながら、ご利用者一人ひとりの「らしさ」が生きる毎日と健康を、工夫しながらチームでまもり支えています。

 

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