2025.7.25 記入者:大岩(サービス管理責任者)
「あ″ぁ~~~~!!!」
笑顔で勢いのある叫びにも似た発声がきこえてきたので目をむけると、Hさんが先月の誕生日プレゼントで購入したトイカメラを見せてくれました。「なにこれなにこれ」と尋ねてみると、トイカメラといえども侮るなかれ、いまのトイカメラは通話機能はないものの写真・動画撮影はもちろん、電卓・カレンダー・懐中電灯・英語知識の勉強などの機能がもれなく付いているようでした。
支援員Kさんといっしょに欲しいものを選んで買ったこと、Hさんの嬉々とした表情や「これで撮ったりできるんだよ~!」とこちらに伝わるボディランゲージには、うれしいきもちがたっぷりと詰まっていました。

ところで最近、ずっとほしかった手塚治虫『ブラック・ジャック』の2巻を二子玉川へ買いに支援員Sさんと出かけたKさんに、おなじ手塚治虫好きとしてその話題をふってみると「うん、買った。でも…」と話題はすってんころりんと別のほうへ。
「でも火の鳥の13巻のカバーがない。カバーがない」
「カバー??」
「カバーがないんだよ」
「13巻だと…ギリシャ・ローマ編?」
「そ。カバーがない」
え、どれどれと本棚を見せてもらうと、なぜかギリシャ・ローマ編のカバーだけがなく、どうしてカバーがないかは「うーん、わかんない」とのことでした。横目にうつる整理整頓されている本棚にはKさんの人柄がにじみでており、「人が読む本は、その人自身を育てる土壌である」という言葉があたまをよぎりました。



欲しかったトイカメラや漫画を買ったり、ちょこっとネイルをしてみたり、日課の日記を書いたり、だれかを想って手紙を書いたり、だれかと仲良くおしゃべりしたりのんびり過ごしたり、うれしくなって笑顔になる瞬間があったり──完ぺきではなくても、じぶんらしく“いまよりもちょっぴり良い”と感じられる暮らしを大切にする。
そんな、その人にとって心地よいベターライフな暮らしが、ほんのちょっぴり見えた気がしました。




