2024.6.12 記入者:大岩(サービス管理責任者)
ビーズ通しや塗り絵に絵描き、お菓子づくりや機織りや編み物など作業的活動に没頭する方もいれば、それらを好まなかったり飽きてのんびりとした時間を過ごしたり、ちょっとした散歩をしたり──
日中活動をするための主たる活動拠点としてある「作業棟」では、クラフト班・製菓班・染色和紙班・陶芸班・花畑班という5つの活動グループに分かれ、ご利用者の希望・特性・状態にあわせた活動を提供しています。
班によっては「ここにいる10人の車椅子の方のうち、10年程前までは8割の方はみずから歩かれていた」といった現状があるように、ご利用者の高齢化とそれにともなう支援ニーズは多様化をむかえています。そのため、かつてのような創作や生産といった「作業的活動」よりも「余暇、個別活動」のための支援ニーズが比重を占めています。
見守ることやリードすることもあれば、そのままのありようを受け入れて活かしたりポジティブな方向に発揮できるよう模索する──十人十色のニーズに応えるための工夫や個別の配慮、年を重ねても身体機能が低下しても楽しめる日常があるよう、一人ひとりの個別性と継続性をふまえながら支援することがスタッフには求められています。
たとえば中途視覚障害の方には手の触覚で感覚遊びとしても楽しむことができるよう「スクイーズ」と呼ばれる低反発・ストレス解消のグッズを用意して提供し、しずかで落ち着いた環境が好きな方には集中して取り組めるパズルや紐糸やビーズセットを提供する。絵を描くことが好きな方には、画用紙だけではなく紙袋や段ボールやミニキャンパス、使用済みで本来は捨てるだけの業務用除菌クリーナーの空きBOXなど提供してみることで「え、なんだかこれ面白いね」という作品として仕上げてみる。鉄道の映像が好きな方には、タブレット端末を用意し、DVDやYoutubeで楽しんでもらえるよう提供する。みずからしたいことを選んだり探すことはない方には、「こんなのはどうかな?」と想像し、興味を持ちそうなものを提供してこれはどうかなと反応をみてみる。ゆらゆらと横にからだを揺らし、手先をうごかしたり何かに取り組む活動ではないけれど、落ち着いてゆったりと心地よく余暇をすごせる場となるような環境をつくる。音符ではなく数字をつかって曲づくりをしている方には紙と鉛筆を。
ときにご利用者の希望や好みやニーズに合わせた活動や場になるようスタッフが考えをめぐらせたり、ときにご利用者と協働しながら楽しんだりしながら、きょうも日中活動の場がつくられています。