「したい」と「できた」

2023.4.28  記入者:大岩(サービス管理責任者)

 

「大岩ちゃん!!!」

 

名前を呼ばれて顔をあげると、ご利用者Mさんが満面の笑みをうかべて両手をパタパタし、飛び跳ねていました。嬉々としたあまりの興奮ぶりに、どど、どうしたのかな、と思ったのも束の間、Mさんは「髪染めたの!!!」と言い、えっ、あ、ほんとだ!とこちらが気付くとすぐさまMさんは笑顔で興奮やまず走り出しました。

 

あとを追いかけ声をかけるとニコニコと目じりに皺を寄せ、希望していた髪染めを支援員Nさんにしてもらったことを教えてくれました。

 

 

「えへへへ」と本当にうれしそうにするご利用者Mさん

 

あとから知った話によると、ご本人から「赤く染めるから!」と一部の他スタッフには以前に宣言していたようでした。そうしてMさんにとっての「これがしたい!」が念願叶い、写真の笑顔に繋がっていたのでした。

 

「大切なのは、自分のしたいことがなにかを、わかってるってことだよ」

 

フィンランドの児童文学者トーベ・ヤンソンが『ムーミン谷の夏まつり』の登場人物にそう語らせていたように、自分のしたいことの輪郭がはっきりしていると、その「したい」が「できた」ときの心の動きのありようは想像に難くありません。

 

「大岩さん!!!いまちょっと来れますか!?」

 

またべつの日の朝には、支援員Nさんからそんなお呼びの内線があり、駆け付けてみると「Tさんが…!」と、ご利用者Tさんの「したい」と「できた」を目の当たりにすることができました。

 

  

 

 

職人のように作業に取り組むご利用者Tさん

 

それはご利用者Tさんが、お好きな木工作業としてひさしぶりにノコギリを使い板を切っている場面でした。いつも朗らかに明るいTさんですが、声をかけると「うん…」と職人さながら寡黙に取りくまれ、一所懸命に手を動かしていました。

 

好きな色に髪染めをしたMさんとはちがうカタチの、Tさんにとっての「したい」が「できた」姿、そしてTさんの「したい」をできるよう環境をととのえ「できた」に繋げることができたことに喜ぶ支援員Nさんや支援員Tさんの笑顔があり、おもわず嬉しくなるのでした。

 

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