声をとどける

2022.10.17 記入者:大岩(サービス管理責任者)

 

 

「全身の皮膚の孔をとおして聴くこと」

「第二の耳をもつように聴くこと」

  

ハンガリーの医学者であるマイケル・バリントが一般開業医にもとめた精神療法的態度は、まず患者の話すところに耳をかたむけよ、というものでした。老若老幼を問わず、まずはあいての言葉に耳をかたむける。それは福祉従事者のわたしたちにとっても含蓄に富んだ金言であり、折りにふれて思い出されます。

 

耳をかたむけることで他者のこころの動きのかすかな徴候を感受でき、骨太な現実性をしめすことができる人はまことに稀だろうとおもわれながらも、まずは耳をかたむける。あいての言葉、言葉にならない気持ち、言葉をとおさない姿に、耳をすます。そのことは聴くことの労苦や泥くさい部分をふまえたとしても、何度でもふりかえり思い出す必要があると感じます。

  

ところで先日、風のラジオ便がおこなわれました。「あいてに耳をかたむけること」とおなじくらい大切になりうる「こちらの声をとどけること」として、支援員Wさんの企画のもとおこなわれた風のラジオ便は、今回で第三回目となり、「ご利用者の楽しみに繋がりコロナ禍でもできることはなんだろう?」というスタッフの思いとひらめきから生まれた、今年度からの初めての企画・試みです。

 

<これまでの風のラジオ便のお知らせポスター>

  

風のラジオ便<事前打ち合わせ風景>

 

事前打ち合わせのスタッフから「このときはこうして…」「あ、それいい!すばらしい!」「大丈夫かな~」「よし、やろう!」というやりとりが聞こえてきたのち、館内放送により風のラジオ便がとどけられました。

 

いつもとはちがったしかたで、耳をすますご利用者のみなさんに、ひとりでも多く楽しんでもらえるよう響く声がとどいていればいいなとおもいました。

 

 

 

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