頁をめくりひらき

2022.9.9 記入者:大岩(サービス管理責任者)

 

ご利用者のなかには、日々のできごとやスタッフの勤務状況、字の練習など、お持ちの手帳やノートに毎日欠かさずに書き込みをされている方がいます。おひとりおひとりその内容は異なり、ひとによっては、この行為を何年何十年にもわたり続けられています。こうした生活の中のつらぬかれた行為には「その人らしさ」が染み出ていて、帳面の頁をめくりひらき一瞥するだけで、その人の一面をうかがい知ることができます。

 

ご利用者のOさんはときどき「きょうの泊まり誰?」と尋ねてき、こちらが「えっと、、Aさん、だったかな…?」と曖昧に答えると「ちがうよ、Bさんだよ!」とすぐに教えてくれます。逆にOさんに「きょうの泊まりって誰でしたっけ??」と確認すると帳面を見ずとも「〇〇さん」と即答していただけたりします。Oさんの秀でた記憶力には頭が上がりません。又、急な勤務変更のときは「え、そうなの?そうか、変わったのか」と言い、Oさんの帳面に書かれた勤務表はすぐに書き換えられます。そんなOさんは、特定のスタッフが出勤するとちかづき誰が見てもウキウキとした笑顔を浮かべて陽気な歌をうたがいなら踊ります。特定の職員の名を呼び、歌い、幸せそうな表情をみていると、こちらもおもわず笑みがこぼれてしまいます。

 

ご利用者のMさんは、お部屋などで雑談をするときなど「この日はたしか…」と日記帳を出し、「そうだそうだ、この日は〇〇さんがいて、こうだったんだよ」とふりかり笑顔で教えてくれます。日記帳にはTVで何が放送されていたかなど日々のできごとも書かれて、これは面白かった、もうすぐこれの映画がやるから観に行きたいね、など話されます。お出掛けに行った思い出なども書かれており懐かしんでくださるので、こちらもおもわず「ここ一緒に行きましたね~!懐かしいなぁ」とこぼします。そういうときMさんは目じりに皺を寄せ「また行こうね」とやさしく微笑みかけてくれるのでした。

 

帳面やカレンダーなどの裏紙に字をおとすご利用者Oさん
ご利用者のSさんも帳面いっぱいに書きこみがあります