暮らしの片隅に

2022.7.15 記入者:大岩(サービス管理責任者)

 

 

「あ~、またMさんに会いたいなぁ~」

「私はきのう、夢にNさんがでてきたんだよね~」

 

先日、スタッフ同士のこんなやりとりが耳にはいってきました。ふたりのスタッフはひときわ明るく会話をしながら頬をゆるませ、そこには不思議とホッとする空気感がありました。話題となっていたMさんは数年前にお亡くなりになられたご利用者のことで、Nさんはべつの施設に移行されたご利用者のことでした。

 

いまではもう会う機会がなくなってしまっても、その人のことをときどき思い出しては、ふいに会いたくなる。たとえ会うことは叶わなくても、そんなきもちを共有する相手がいて、思い出話に花が咲く。そうして自然と笑顔になる。目黒恵風寮では珍しくないスタッフ同士のなにげない会話でしたが、その無意識の根っこにあるご利用者へのそれぞれの素直なきもちに、やさしさに包まれた他者への思いを感じとりました。

 

その人とどう出会い、どう過ごして、どう別れたか。きっとその答えは「またあの人に会いたいな」に地続きでつながっていて、楽しいことや泥臭いことや辛くなるようなことも含めていまを一緒に生きて分かち合っているからこそなんだろうなと思いました。

 

笑ったり楽しんだり時々すったもんだしながらも、なにげないスタッフ同士のやりとりがご利用者の暮らしの片隅にあたりまえのようにあって、そこにつながる日々の暮らしの風景がそこかしこにあり、その風土に、スタッフの笑顔と思いに、ひそかに誇らしくうれしくなるのでした。